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小説、エッセイ、たまに哲学。マイペースに読み進めてます。

没入感を味わえる山崎豊子作品3選

こんにちは。

気づいたら2019年もあと1か月なんですね。

今年ハマりにハマったのが、山崎豊子さんの作品でした。

 

白い巨塔くらい読んどかなきゃなーと思いながらも、巻数の多さ(全5巻)もあり、なんとなく手が伸びずにここまできた。勝手に東野圭吾池井戸潤ジャンルのエンタメ作家だと決めつけていた部分も正直ありました。

 

ところが、軽い気持ちで「華麗なる一族」を手に取ったところ、豊子沼に突入していきました。

魅力をひとことで表すと、「自分が生まれてない時代を追体験できるワクワク感」でしょうか。

 

華麗なる一族」では妻妾同居や長男への疑い、軽薄な次男という美しくない人間関係が渦巻く一方、表舞台ではオーナー銀行の頭取として陰謀をめぐらすなど、とにかくコンテンツが濃い。

どろどろな中で唯一真っ当な長男、鉄平の生き方がすがすがしい。製鉄業界って当時有望な業界だったようで、現在とのギャップも新鮮でした。

取材の丹念さは、どの作品の巻末からも推察され、フィクションでありながらドキュメンタリーのような不思議な重さがあります。

 

その後、主要なシリーズ作品を読み終えたので、うち3作品を紹介したいと思います。

 

 

1位 不毛地帯

 

不毛地帯(一) (新潮文庫)

不毛地帯(一) (新潮文庫)

 

 

 

 最初はシベリア抑留から始まるのでつらく寒い描写が続く。

2-5巻は動き出した戦後社会になるので、心折れずに1巻を読み終えることを全力でおすすめします。

元軍人(大本営参謀)が中規模の繊維商社でその才能を買われ、組織と日本を動かしていく。

 

これまで読んだことのない設定であり、戦後の日本社会の動きを知ることができてめちゃくちゃ面白い。商社が舞台なので国益が絡むダイナミックな変化が常に起こっていて、繊維商社が異分野の航空機・石油に事業を挑んでいくのも見どころです。

恋愛話も織り込まれていて、むしろそっちが気になって読み進めていた。

 

シベリア抑留といえば遺骨収集というくらいの知識しかなく、こんな恐ろしいことが隣の大陸であったこと、戻ってきてからも戦後の社会に適応していかないといけないということは、自分が大人になったからこそわかる悲惨さだった。

 

この作品が好きな方は「二つの祖国」もハマると思います。こちらは太平洋戦争下で日本と米国の間で板挟みとなる、日系二世の苦難の歴史です。

 

2位 華麗なる一族

 

華麗なる一族(上) (新潮文庫)

華麗なる一族(上) (新潮文庫)

 

 

上・中・下の3巻なので比較的チャレンジしやすいよう思います。

華麗なる一族である、万俵家の物語です。

藤原家にならってか、縁戚を万俵家のネットワーク作りとして勝手に決めてくお父さん万俵大介。かなり嫌なやつというかサイコパスなんじゃないかという印象ですが、最後の一文を読むと、なるほどな…という虚しい気持ちに変わりました。

 

どろどろな人間模様と高度経済成長期の銀行・製鉄業界のかじ取りという二つが交わりあい、読み始めるととまらない。

 

 

3位 白い巨塔 

 

 

白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

 

 

 

紹介するまでもない、有名な作品ですね。

読み応え抜群ですが、個人的な好みで主人公の財前教授が好きになれず熱が入らなかった。里見先生の静かな姿勢が対比的に描かれ、医者とは?という姿勢を問う。

 

がんという病気がまだあまりメジャーじゃなかったのかな?告知しないのが普通だったのか、今読むと疑問に思うところもあった。