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小説、エッセイ、たまに哲学。マイペースに読み進めてます。

ジェイムズ・リーバンクス「羊飼いの暮らし」

羊飼いの暮らし──イギリス湖水地方の四季 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

羊飼いの暮らし──イギリス湖水地方の四季 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)


ほかに望むものなど何もない。
これが私の人生だ。


という帯、のどかな羊の風景のギャップ。

ジャケ買いフラグ🚩

ここ1年で読んだ中で、最も読みごたえがあった。

羊飼いってハイジに出てくるペーターののほほんとしたイメージしかなかったけど、めちゃくちゃ頭使うし肉体労働だった。

イギリス湖水地方で600年続く羊飼いの家系に生まれたリーバンクスさんの手記。

ユネスコのアドバイザーもされてるらしく、2017年の湖水地方世界遺産登録の立役者だとか。ツイッターもされてるよう。

これまで書かれることのなかった領域じゃないでしょうか?

家業、ワークライフバランスなんてものがない世界(仕事も生活も一体)をのぞくことができた。

オックスフォード大卒の件はさらっとしか触れれる扱いで、ベースはあくまでも祖父の背中を見て育った羊飼いとしての自分。

夏は山に放牧して、美味しい草を食べさせ、秋には自分の囲い地に集めて、いい感じの羊同士を引き合わせて春の出産に備える。厳しい冬は干し草でしのぐ。

ひとつひとつが骨の折れる作業。
いろんな農場から集まった羊たちを牧羊犬を使って自分の群れだけ集めるのもひと苦労。はぐれて遠くにいってしまった子羊を捜すのに専門のバイトがあるくらい大変とある。


観光地としての湖水地方と生計を立てる場としての湖水地方がまったく異なること、景観を守っていくための考察は観光地との関わり方について考えさせられた。観光でお金を落とすだけでは守れない景色がある。