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小説、エッセイ、たまに哲学。マイペースに読み進めてます。

西研「集中講義 これが哲学!」

これまでいろんな入門書に手をつけてきたけど、この本が最もシンプルで要を得ていると感じた。

哲学とは世界像と人間について考える学問、という。

近代以降の流動的な社会では価値や規範が激しく変動するため、自分の世界像も不安定となり、納得して生きていくため物語の再構成が必要とされた。

だから自身の役割や価値観が揺らがない人にとって、哲学は必要ではない。

 

集中講義 これが哲学!---いまを生き抜く思考のレッスン (河出文庫)

集中講義 これが哲学!---いまを生き抜く思考のレッスン (河出文庫)

 

 

 

迷えることはある意味、贅沢なことだと思う。

選択肢を選べるということだから。

私の祖父母は農家で、揺らがない世界が側にあったことはとても幸せだった。

しかし、祖父母は与えられた道を責任をもって歩んだ一方で自分が好きなことを選んだりコースアウトすることは許されなかったと思う。

どっちが幸せかはまた別次元の話だけど、変化は新しい発見をもたらしてくれると思うので自分には向いている。

 

西さんはカントやフッサールヘーゲルハイデガーの考え方を大事にされている。

マルクス主義(唯一絶対の真理がある)の反省から相対主義がトレンドとなっているけど、そこを推進していっても他者と分かりあう境地にたどり着かないという。

 

一例として、リチャード・ローティという現代アメリカの哲学者を挙げていた。

カントやフッサールの思想は唯一絶対の真理を求める弱さに由来している、人が判断する過程には社会的なルールが介入しているから真理はなくすべて相対主義という考え方。

カントの考え方で大事なのは、現象界(私にとっての世界)の中に他者と共有できる秩序がある(カテゴリー)として、共通する何かを探していこうとする姿勢だという。

 

それはすごく共感できる。現代哲学がつまらないのは、クラシックである近代哲学が鮮烈なのか、経済学などに役割を取って代わられてる部分があるからなのか。

あまりハッとするものに出会えない。まだまだ近代哲学を深めたい。