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tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

遠藤周作「海と毒薬」

戦後、F市の大学病院で行われた外国人捕虜の生体解剖実験。

罰はあれども、罪はあったのだろうか、と問う。

 

凄惨な医療現場を描くのかと思ってびくびくしながら読むも、肝心の実験はあっけなく終わる。実験から年月が流れたあとの東京郊外から始まり、関わった医師たちの個人的な体験記などが淡々と続く。

そのドライさが実験とつながっているのだけど、心を麻痺させているわけじゃなくて最初から心がない風に捉えられて救いがない。

 

従軍経験があるおじさんがガソリンスタンドのオーナーをしているなど、「戦後」という特殊な時代がたしかにあったことを街の息遣いで実感させる作品だった。

実験については、防ぎようもなく、これからも罪なき人は罰せられることを起こしていくのだろうと思えてわりと暗い気持ちになった。

 

海と毒薬 (新潮文庫)
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