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tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

綿矢りさ「夢を与える」

すとんと足を踏み外したかのようなターニングポイントが

ぱっと見、健全そうなこの小説にも用意されていた。

 

綿矢りささん、ほんとうまい。起承転結の"転結"の曲がり方がすごい。

 

芸能界に身を置きながら変に染まることなく、周りの大人やマネージャーでもある母親とうまくやりつつのびやかに成長し、学業にも手を抜かず難関高校にも合格する。

そんな夕ちゃんの軌道がそれてしまうのは、お決まりの恋愛。

「夢を与える」ことの責任とは?ラストの生々しさがずっと胸につかえる。

 

夕ちゃんの成長と並行して描かれるのが母親の幹子と父親の冬馬の冷えた夫婦仲。

フランスの血が半分入った冬馬の、優しくて気の弱いところを利用しながら繋ぎとめようとする幹子の執念が行間に漂う。

 

「どんなに強く望んでも手に入らないものはあるの」

と言える強さを持てた娘を母はどう見るのだろう。

 

 

夢を与える (河出文庫)
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綿矢 りさ
河出書房新社
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