tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

冲方丁「天地明察」

読み応えのある時代小説で、本屋大賞受賞作(2010年)、さすが。

碁打ちにして暦法家の渋川春海の人生を丁寧に追ったお話。

情熱大陸の取材のような密着度でドキュメンタリーを長回しで見ている感覚だった。

日本独自の暦が生まれるまでを江戸幕府の勢力図と絡めながら淡々と。

恋もあるけど、やはりこれは仕事小説だなと思う。

 

下巻でやっと、碁打ちの本領である全体を俯瞰して勝ちを狙いにいく

力が発揮される。盤上の碁石のように関係者を動かしていくさまに電車が止まっても本を手放せないくらい集中してしまった。上巻は下巻のためにあったんだとしみじみ。

 

関孝和という算術の天才も切れ味鋭い人物で、いつどうやって2人は直接出会うんだろうと、どきどきさせる謎の人物ぶり。

まったく数学も星の運行も理解できない超文系な人間だけど、ロマンは感じ取れて読後じーんとした温かい気持ちになった。

 

”星は答えない。決して拒みもしない。それは天地の始まりから宙にあって、ただ何者かによって解かれるのを待ち続ける、天意という名の設問であった”

 

天地明察 上<天地明察> (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店 (2012-09-01)
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