tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

窪美澄「よるのふくらみ」

窪美澄さんといえば「ふがいない僕は空を見た」で有名。なのだけど、どうしても受け付けなくて「晴天の迷いクジラ」しか手に取ったことがなくて。

 

"圭ちゃんとのセックスがあれば裕太のことをこんなふうに思わなくなるのか、考え始めると頭の芯がぼんやりと熱くなった。自分の中に芽生えつつあるものが、恋なのか、それとも性欲なのか、私には判別できなかった"

 

という帯の本文引用に惹かれ、反射的にレジに持って行ってしまった(*´ω`*)

 

同じ商店街で育った、圭祐、裕太の兄弟とみひろ。夜の生活がしっかり昼の生活に絡み、

3人の歩調を乱していく。

 

それぞれの目線で同じ出来事が語られるので

切なさがどんどん浮き彫りになってくる。

移動中に読んでいたら、涙が表面張力ぎりぎりのところまで出てきた。

 

特に圭ちゃん。

「瞬きせよ銀星」が好き。ラスト5行のじんわり。人肌のあたたかさが紙を通して感じられるクリスマスイブの教会前。

 

商店街人情物語ではなく、狭いコミュニティの中で恋や浮気や噂話がうずまいて、全然美しくないところが逆に清々しい。

それでも、地域で子どもを育てていく土壌があって、舞台が絶妙なのでした。

 

よるのふくらみ (新潮文庫)
窪 美澄
新潮社 (2016-09-28)
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