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tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

ガーリーでほんのりダークな表紙につられて、1冊100円コーナーから連れて帰ってきた。
アマゾンでは文庫版しか見つけられなかった。。
 
表紙に描かれた思春期の少年少女のイラストイメージが強かったのかもともと作品のイメージ通りの
姿だったのか今となってはわからないが、キャラはこのビジュアルで静かに淡々と北海道で暮らしている。
小さな街で繰り広げられる閉じた世界は、一瞬だけ現れるスノードームみたい。
 
北国の冷たさ、雪の白さ、黒髪の美少女十七歳。母親の業を負ってるともいえる七竈の、なお凛とした生きざまがクール。対のような存在としていつもそばにいるこれまた美少年の同級生、雪風
2人が放課後、鉄道模型を部屋で走らせているシーンは少しのトリップ感があってとってもよいね。
 
男遊びにうつつを抜かした母の川村優奈は深みのある出口のない愛憎に足を絡み取られている。まるで抹茶のような濃さでどろりと茶碗の底に残り続けるようなもので、けっしてお酒にほろ酔うような恋ではない。
 
きっと作者によってはどろどろな関係となって破綻していくのであろう内容を、束の間の幸福と白紙の未来で
美しく〆ている。世代の業パスを断ち切る鮮やかさにこれでよかったのだと納得するしかない。