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tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

朝井リョウ「もういちど生まれる」

大学生の甘くて苦い中編集。
 
海を分母に、空を分子にしたら、1を超えるのだろうか。泣きたいのを我慢しているような空を見上げると、イヤフォンが少し動いて、耳の中から音楽がこぼれ落ちそうになった。
 
自分にこんな青春はなかったのに、経験したことがある痛みのようなかっこ悪い気持ちをこれでもかというくらい突きつけてくる。なのに、爽やかさもあって風通しのよい文章。
 
いきなり1話目の「ひーちゃんは線香花火」に泣いた。
ただのちょっとかわいい女子大学生の話かと思ったら、影の主役ひーちゃん。
ひーちゃんのことを浮かばせるために、一人称の主役の語り手がいたようなもの。
イケメンで気弱な風人はまた別の章にも顔を出していて、これもまた電車にいそうな大学生。
 
表題の「もういちど生まれる」も題名の意味がすとんとわかる印象的なシーンがあって。
双子の姉は読モでかわいくて大学も推薦でストレートで受かり、人気者。妹の梢はいまいちぱっとせずコンプレックスのかたまりを抱えて家でも予備校でも過ごしている。
ここで風人登場。片想いしてるものが持つ穏やかなあきらめの乾いた空気を時たま共有。

 

 

もういちど生まれる (幻冬舎文庫)
朝井 リョウ
幻冬舎 (2014-04-10)
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