tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

窪美澄「よるのふくらみ」

窪美澄さんといえば「ふがいない僕は空を見た」で有名。なのだけど、どうしても受け付けなくて「晴天の迷いクジラ」しか手に取ったことがなくて。 "圭ちゃんとのセックスがあれば裕太のことをこんなふうに思わなくなるのか、考え始めると頭の芯がぼんやりと…

森絵都「つきのふね」

”人より壊れやすい心に生まれた人間は それでも生きていくだけの強さも 同時に生まれもってるもんなんだよ” 中学生のさくら、親友”だった”梨利、梨利のことが好きでストーカー呼ばわりされてる勝田くん、人類を救うという宇宙船の設計図をひとり引きつづける…

原田マハ「ジヴェルニーの食卓」

印象派の画家にまつわる掌編小説を集めたもの。 マハさんの描く世界は優しくて、冬の晴れた日にそっと降る雪みたい。 ハッピー!って終わりはどれもないけど、幸せの引き出しが自分の中で増えてると思えるお話ばかり。 とくにマティスとピカソの刺激的な交流…

伊坂幸太郎「砂漠」

砂漠ってひとことで言うと、「社会」のことだった。 学生時代をオアシスとして思い出すなかれっていう 大学の卒業式の学長のあいさつにもあるよう、 これから出ていく世界のこと(学生目線で!) 仙台の大学生4人の、平凡と見せかけて全然平凡でない 学生生…

夏目漱石「明暗」

津田とお延は一見して仲むつまじい新婚夫婦。 の陰にちらつく、津田の昔の恋人の存在(清子)。 常に逆上ぎみの妹、お秀や勤め先の上司の奥さまである吉川夫人。 お延だけが清子のことを知らず、悪意ある吹聴で不信感を募らせていく。 いちばん黒幕っぽいの…

夏目漱石「彼岸過迄」

タイトルの由来が力の抜けるものだった件。 「元日から始めて、彼岸過迄書く予定だから単にそう名づけたまでに過ぎない実は空しい標題である」 うーん、後期三部作「彼岸過迄」「行人」「こころ」の入り口として手に 取ってみたけど、「三四郎」と同じく印象…

夏目漱石「それから」

文庫カバー裏の引用↓ 長井代助は三十にもなって定職も持たず、父からの援助で毎日をぶらぶらと暮している。実生活に根を持たない思索家の代助は、かつて愛しながらも義侠心から友人平岡に譲った平岡の妻三千代との再開により、妙な運命に巻き込まれていく・・・…

夏目漱石「三四郎」

これといって感想のない「三四郎」。。 「迷える羊」(ストレイ・シープ)という言葉を残して ほぼ印象消えた。 角川文庫の和柄の赤い模様にぐっときて。 大学に入ったばかりで熊本から上京してきた三四郎を ミステリアスな美禰子、与次郎、野々宮、広田先生…

夏目漱石「こころ」

読みやすくて、そのことにいちばん驚いた。 後期三部作「彼岸過迄」「行人」「こころ」と順に読んでいったところ、 断トツの入りやすさ。移動のおともによい感じ。 先生とKと奥さんの三角関係の話だと思っていた。 そして先生とKには何か特別な結びつきがあ…

夏目漱石「草枕」

智に働けば角が立つ。 情に棹させば 流される。 いやはや。 そんな人の世がいやなのか温泉場にやってきた青年画家。 特に何も起こらないのだけど、夜中の風の音、春のヒバリの空駆ける動き、 温泉に頭までつかって湯気に包み込まれる白い視界、田舎町での世…

酒井順子「気づくのが遅すぎて、」

週間現代に連載してたコラムの書籍化。 ということでめっちゃ文章読みやすくて、時事ネタ多し。 中でも、EXILEの昭和型経営説が最もヒットした。 HIROさんを町工場の叩き上げ社長とみて、コツコツ努力を積み上げてきた方とし、懐刀として立ち上げ初期にとも…

レイ・カーツワイル「シンギュラリティは近い」

シンギュラリティは日本語だと「技術的特異点」っていうらしい。 AIをさらに飛び越えた地点。 テクノロジーが急速に変化し、その影響で人間の生活が後戻りできないほどに変わってしまう未来。2045年ごろ。これまで100年かかっていた進歩が25年に短縮されると…

谷川俊太郎「こころ」

こころ1 ココロ こころ 心 kokoro ほら 文字の形の違いだけでも あなたのこころは 微妙にゆれる ・・・・・・ 詩のすぱーんとした潔さが好き。 何か言葉をかけてほしいとき、 自ら詩集を手に取るような気がする。 谷川俊太郎さんのお年を召しても 丸くならな…

エリック・ワイナー「世界しあわせ紀行」

ヨーロッパの人たちは、けっこうクールな満足感で、 アジアは運命受け入れる系の懐の広さでゆったりした心持ち。 タイー幸せとは何も考えないこと タイ人は起きたことをそのまま受け入れる。(中略)現世でうまくいかなくても、次の機会が必ずある。次もだめ…

多和田葉子「雪の練習生」

表紙のシロクマさんに哀愁があってよいなぁ。 文章は端正で、シュールなお話も抒情を含ませながら淡々と で進められてゆく。 ホッキョクグマがオットセイの編集者に原稿を出すくだりが すごく神妙だった。 今度は、子ども・孫世代が今度はサーカスや動物園で…

森博嗣「ツンドラモンスーン」

1.現代人が求める「気づき」は「気づきたい」ことでしかない。 100のつぶやき、1個目からすぱーんと。 自分が納得したいものでしか気づかない人の多さを指摘し、 遠いものにこそ「気づき」は大きく価値があるんだよと。 気づきには探索が必要なのに、多く…

D・カーネギー「人を動かす」

うーん(゜-゜) 出てくるワードに時代を感じる。 リンカーンがお手本だったり、南北戦争が最近あったかのように 出てきたり。 それもそのはず。1936年初版!! ひとことでまとめると、一時期流行った「人は感情で動く」 人を動かすただ1つの秘訣は、どうやら…

「完訳 7つの習慣」

7つをずらり並べてみた。 ①主体的である ②終わりを思い描くことから始める ③最優先事項を優先する ④Win-Winを考える ⑤まず理解に徹し、そして理解される ⑥シナジーを創り出す ⑦刃を研ぐ これまでこの手の啓発本は敬遠していて、本屋でも読書会でもスルーし…

糸井重里「忘れてきた花束」

読みやすい。そして忘れたころにまた手に取ってしまう本。 このシリーズ集めたいな。 余白が多くて、文字がすぱーんと目に入ってくるのもいいなぁ。 愛犬ブイヨンくんの写真と語りかけの文章に和み、フクシマの問題に思いを馳せ、 飯テロなつややかなカレー…

三浦しをん「まほろ駅前狂騒曲」

都心のベッドタウン、まほろ市で起こるローカルな事件にがっつり巻き込まれつつ、便利屋として根をおろした多田と転がり込んできた同居人の行天。シリーズ3作目で改めて思ったのが、シャーロックホームズのような謎解きは調味料みたいなもので、メインは男同…

酒井順子「ズルい言葉」

「負け犬の遠吠え」がベストセラーになったころ、あんまり流行ってるので手に取らなかった記憶。それからもエッセイ本が気になりつつスルーして早10年。 今では書いてあることの内容もうんうんうなずく勢いでわかる年になって、すごく近しい距離感で読めた。…

富原眞弓「ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェヤンソン」

写真とイラストでムーミン谷と人物の解説がポップにされつつ、作品を生み出したトーヴェヤンソンがどんな一生を送ったかについても触れられていて。 父も母も画家だったとか3人兄弟でみなアートに関する職業についたこと、ムーミン谷シリーズを書いた動機は…

三浦しをん「神去なあなあ夜話」

平野勇気、20歳。三重県の山奥、林業の村で就職。 林業と恋の二大トピックをめぐるドタバタ記。読みやすく勢いのある文章で、ときどき笑ってるうちにあっという間に読み終わってしまう。村の人たちとの神去トークや小学校の先生をしてる直紀への悶々とした片…

原田マハ「楽園のカンヴァス」

ひさびさに自分の中でヒットした小説。 MOMAにあるアンリ・ルソー作「夢」をめぐる謎解きと静謐な恋の話。 2000年倉敷「第一章 パンドラの箱」がどうNYのMOMAに見えなかったけど、すっと一本の線がひかれていたことが読み終わってわかる。 舞台は1983年スイ…

井野朋也「新宿駅最後の小さなお店ベルク」

JR新宿駅東口の改札を出てすぐ左にあるというベルク。 その特殊な立地、セルフサービス、コンセプト(信念)があってこそ生き残っていること。 直球の言葉で今のベルグができるまでのエピソードを連ねている濃い一冊。 バイトや買いものでよく新宿駅は使って…

森博嗣「素直に生きる100の講義」

講談社文庫から出てるつぶやきシリーズと同じ。出版社は違うけど、延長線上にあるつくり。 目次を読めば、100の内容の見出しがついてるのでエッセンスがわかるのと、強調したい部分は太字になってるのでさらさら読める。 常識的なフレーズ(=考え方)に対す…

上橋菜穂子「獣の奏者 Ⅵ完結編」

甘くないファンタジー。 大人が読んでも、すっと入っていける。 抱える問題は現代と地続きだけど、空を飛び群れで行動する王獣や蛇を飼っている岩屋、野花がこぼれ咲く山あいなど、ここではないどこかの景色がただ美しい。 ゲド戦記のように光と闇を同じ分量…

アンドリュー・スミス「月の記憶」上・下

アポロ宇宙飛行士たちの「その後」 p.163 ぼくらが魅了されるのは、一つの経験からそこまで多彩な結果が生まれていく経緯なのではないだろうか。プリズムを通して屈折する光のように。 表紙に惹かれてジャケ買いした宇宙本。 月面を歩いたことがあるのは、意…

細谷功「メタ思考トレーニング」

「無知の無知」を意識して、自身の思考の枠を一歩出てみるための本。 要点とトレーニング問題が連なっていて、とても読みやすい。 メタ思考とは・・・ ・質問されたら、なぜその質問を相手がしたのか考える=上位目的を考える ・ひとつの事例があったら、抽…

小川洋子「いつも彼らはどこかに」

「ハモニカ兎」のシュールさにやられ、「竜の子幼稚園」の姉弟のせつなさにぐっときて。 どの短編も動物がらみで、やわらかく穏やかな異世界。 ぱっと読むと、日常のはなしと思うものの、じわじわとトリップ感が出てくる少々怖い短編集。 ひさしぶりの小川洋…

庄野雄治「誰もいない場所を探している」

徳島でアアルトコーヒーというお店を開かれている店主さんのエッセイ。 実はその昔、徳島の友人を訪ねたときに近くにあったので足を運んだことがある。 看板もなく住宅街にひっそりあるお店だった。佇まいに惹かれる人も多いだろうなと思った。 p.42 自分が…

村上龍「村上龍 料理小説集」

美食とセックスと不倫と金。 ギラギラしてるなー。 出てくる場所もコート・ダ・ジュールとかどこそれって土地だったり、NY、東京とさまざま。 こんな男の人、実際いるんだろうか。 バブリーなのか村上龍オリジナルのギラギラなのか。 全く自分の生活圏とかぶ…

ちきりん「未来の働き方を考えよう」

①これからはフロー型の時代 ストック(たとえば貯金や過去の経歴)が多いより、その時々に価値を生み出し続ける「フローの力」の方が重要になってくる。 人間関係もストックよりフローが大事で、どこかに頼りになる家族がいるというストック型の人的ネットワ…

北大路魯山人「魯山人の真髄」

文化人として有名なおじさま、というざっくりしたイメージだけでアラサーまで過ごしてきて、 さすがにどんな人なのか知っておこうという気持ちになって手に取った。 器や書画や美術館のあり方、食に至るまで徹底した美意識があることがひしひし伝わってくる…

レイ・ブラッドベリ「歌おう、感電するほどの喜びを」

ひさびさハヤカワ文庫さん。 完全にジャケ買いの短編集。 わりと分厚い本ながら、読みたいところから進んでゆく方法ですいすい読めた。 どれも衝撃がすごくて、一度に吸収しきれないパワーがあるのだけど、 どちらかというとハートフル寄りな短編をご紹介。 …

桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

ガーリーでほんのりダークな表紙につられて、1冊100円コーナーから連れて帰ってきた。 アマゾンでは文庫版しか見つけられなかった。。 表紙に描かれた思春期の少年少女のイラストイメージが強かったのかもともと作品のイメージ通りの 姿だったのか今となって…

江國香織「スイートリトルライズ」

p.206 「なぜ嘘をつけないか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」 瑠璃子は、自分の言葉が自分の心臓をうすっぺらな紙のように簡単にひき裂いたのを感じた。 「あなたが美也子さんに嘘をつくように。私が聡に嘘をつくよう…

江國香織「はだかんぼうたち」

ノーマルな恋愛軌道から離れて上空を旋回している系。 35歳の歯科医、桃子はクールで分別のある大人の女性、のはずがなぜか長年付き合ったまともな恋人と別れ、9歳年下の鯖崎とのデートを繰り返す。のらりくらりとした鯖崎は、桃子の高校時代からの親友かつ…

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」

舞台は19世紀の農奴制残るロシア。 ダメダメな父フョードルを持つ3人の息子、長男ドミートリイ、次男イワン、三男アレクセイ。 カラマーゾフ家の血として挙げられている性質が、下巻にずばっとあって 「カラマーゾフはまさしく二つの面を、二つの深淵を備え…

朝井リョウ「もういちど生まれる」

大学生の甘くて苦い中編集。 海を分母に、空を分子にしたら、1を超えるのだろうか。泣きたいのを我慢しているような空を見上げると、イヤフォンが少し動いて、耳の中から音楽がこぼれ落ちそうになった。 自分にこんな青春はなかったのに、経験したことがある…