tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

綿矢りさ「夢を与える」

すとんと足を踏み外したかのようなターニングポイントが ぱっと見、健全そうなこの小説にも用意されていた。 綿矢りささん、ほんとうまい。起承転結の"転結"の曲がり方がすごい。 芸能界に身を置きながら変に染まることなく、周りの大人やマネージャーでもあ…

「恋の聖地―そこは最後の恋に出会う場所」

なんとはなしに甘い小説が読みたくて衝動買い。 全国各地にある「恋人の聖地」を舞台にしているらしい。 窪美澄「たゆたう ひかり」は、親も病気になってしまう年頃になったんだなぁとしんみり。淡い恋もほのかに発光して救いに。 三浦しをん「聖域の火」は…

ベン・ホロウィッツ「HARD THINGS」

CEOって何て大変なんだろうという月並みな感想と、ただ会社に文句を言える立場というのは気楽なことなんだと気づける本。 ホロウィッツ自身が直面した困難(HARD THINGS)を語る本。起業家、CEOを経て現在はシリコンバレー拠点のベンチャーキャピタルを運営…

冲方丁「天地明察」

読み応えのある時代小説で、本屋大賞受賞作(2010年)、さすが。 碁打ちにして暦法家の渋川春海の人生を丁寧に追ったお話。 情熱大陸の取材のような密着度でドキュメンタリーを長回しで見ている感覚だった。 日本独自の暦が生まれるまでを江戸幕府の勢力図と…

「孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか」

孤独ってつらい。 でも人とつながろうとする動きにつながる感情で、そうやって人は遺伝子を残し、社会生活を送ってきたという。すっきり。 アメリカの中高年も孤独なんだなー。 科学書ではあるので、アメリカ人のアンケートだけでなく、サル・チンパンジーの…

眞木準編「ひとつ上のプレゼン。」

人前でしゃべるのが苦手で、憧れのあまり逆に スティーブ・ジョブズの映像から遠ざかるという。 会社や読書会でもっと明るく楽しそうに要点を伝えたいと悶々。 で、この本は書いている方の肩書から薄々そんな気はしてたけど、広告業界の本! プレゼンってほ…

エドワード・レルフ「場所の現象学」

人からのすすめがなければ、一生読まなかったであろう本(笑) 赤羽の立ち飲みおでん屋さんと同じ。 現代ではお店に一歩入ればどこの土地でも同じ店内のイオン、実際の地理的環境とは無関係な歴史や神話から不条理に合成されたテーマパーク(ディズニー化)…

ヘミングウェイ「移動祝祭日」

ちょうど、旅に行く前のこと~ 神楽坂のかもめブックスさんで見つけた本。 土曜文庫っていう名前も、黄色の装丁もめずらしく わくわくした。 さて、肝心の内容は、ヘミングウェイの修業時代のパリ暮らしに ついてでした。 エッセイのように思えるのだけど、…

綿矢りさ「しょうがの味は熱い」

・でも愛と相性は別なのかもしれません。 ・ほんとに合っている二人ならもっと、自然に、とてもスムーズに、結婚まで至るものなんだ。 いや、もうこれに尽きる小説だった。 2行目はお父さんの怒りコメントの一部なんだけどもう的を射すぎていて、うんうんと…

原田マハ「独立記念日」

昨日までの私にサヨナラできる一冊 24のお話が入っている短編集。 ほっこりからシリアスまで。 タイトルの可愛さで油断して読むと、危険。 「月とパンケーキ」でいきなり切ない。 切ない方が幸せ一色より話を覚えていられるのがふしぎ。 独立っていうのは自…

原田マハ「本日は、お日柄もよく」

OLニノ宮こと葉がスピーチライターとして一人前になっていく奮闘記。 恋すれどもそれも仕事の燃料にしつつ、という仕事純度100%なストーリー。 タイトルからウェディングが中心かなって勝手に思い込んで買ったので、事前イメージとは違った。こと葉に任され…

東野圭吾「容疑者Xの献身」

直木賞受賞作。 黒一色の背景に一輪の赤いバラ、読み終えた後にふと見ると読後感とすっと重なって切なくなった。 狭い範囲の人間関係が舞台なのに、誰もが思っていた行き先と違う線路にいつの間にか切り替わっている。トリックのスリルが秀逸。2時間ドラマの…

瀧本哲史「武器としての交渉思考」

めずらしく真面目に、仕事関係での解決のヒントを求めて手に取った。 答えは4時間目、「交渉の争点」を図にして、アパレルのマーケティングを例にとって解説されていた。お願いごり押しだけでは話が前に先に進まない現実に、少し光を。 「交渉」なんて論理立…

恩田陸「隅の風景」

旅エッセイ。 旅によって呼び起こされる感情や土地ごとの名所の説明などなど。 いわく、旅とは「予感」を感じにいくものと。サクサク読めた。海外も国内もまんべんなく足を伸ばしていて、ひさしぶりに海外旅行に出かけたくなった。 恩田陸の文章や考え方って…

穂村弘「本当はちがうんだ日記」

安定の文系男子エッセイ。 声を出して笑ってしまうので家の中で読むのがおススメ。 一例を挙げると、 ・飲めない苦いエスプレッソを飲もうとするほむらー ・読まないサンリオSF文庫をコンプリートしようとするほむらー ・「暮しの手帖」を創刊号から70号まで…

川上未映子「愛の夢とか」

「アイスクリーム熱」「愛の夢とか」が軽めだったので油断していたら、ヘビー級がうしろにたくさん控えていた、そんな本でした。詩に近い小説。起承転結を求める人には向かない。 「お花畑自身」は自分の家と庭を愛情を傾けて作り上げた主婦が静かに狂ってい…

森博嗣「風は青海を渡るのか?」

風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake? (講談社タイガ) posted with amazlet at 16.12.17 森 博嗣 講談社 売り上げランキング: 6,082 Amazon.co.jpで詳細を見る 公式サイトから↓ 聖地。チベット・ナクチュ特区にある神殿の地下、長い眠りについ…

服部みれい「あたらしい自分になる本」

あたらしい自分になる本 増補版: SELF CLEANING BOOK (ちくま文庫) posted with amazlet at 16.12.04 服部 みれい 筑摩書房 売り上げランキング: 106,639 Amazon.co.jpで詳細を見る 1.からだからあたらしくなる 冷えとり健康法のこと アーユルヴェーダ 白湯…

糸井重里「インターネット的」

「的」ってついてるのは、糸井さんが「インターネット」と「インターネット的なもの」を分けているから。糸井さん曰く、「自動車とモータリゼーションの違いみたいなもの」で、自動車(=インターネット)の発明によって→車庫が必要になったり、デートの仕方…

江國香織「ぼくの小鳥ちゃん」

”小鳥ちゃんはいきなりやってきた。 雪の降る寒い朝で、ぼくはいつものように窓の前に立ち、泡の立ったミルクコーヒーを啜っていた。どうして窓のまえかというとそこにヒーターがあるからで、ヒーターは旧式の、幅が10センチくらいあるクリーム色の金属のや…

よしもとばなな「アナザー・ワールド 王国 その4」

昔からのよしもとばななファンにより響く。 風変わりな境遇の主人公片岡ノニがミコノス島で運命の人に出会った~というウルルン調の話。 王国その4ってあるわけだからその前の物語がしっかりあったんだよね。一部読んだことあるけどすっかり忘れていたので、…

森博嗣「彼女は一人で歩くのか?」

手に取ったきっかけは、ニュースで見た 本の宣伝担当の人工知能bot。 別シリーズに出てくる教授が自動で話しかけに対して答えを返してくれる っていうもの。 news.kodansha.co.jp ウォーカロン(walk-alone)人工細胞で作られた生命体。 一方、「人間」は人…

松尾豊×塩野誠「人口知能はなぜ未来を変えるのか」

AIの入門書のような内容で対談形式でテーマ解説していくのラフに読める。 個人的には「シンギュラリティーは近い」を読んでいたので真新しい内容はあまりなかった。AIのこれまでとこれからを俯瞰できる一冊。特にサイバー空間×国家のChapter2が面白かった。 …

窪美澄「よるのふくらみ」

窪美澄さんといえば「ふがいない僕は空を見た」で有名。なのだけど、どうしても受け付けなくて「晴天の迷いクジラ」しか手に取ったことがなくて。 "圭ちゃんとのセックスがあれば裕太のことをこんなふうに思わなくなるのか、考え始めると頭の芯がぼんやりと…

森絵都「つきのふね」

”人より壊れやすい心に生まれた人間は それでも生きていくだけの強さも 同時に生まれもってるもんなんだよ” 中学生のさくら、親友”だった”梨利、梨利のことが好きでストーカー呼ばわりされてる勝田くん、人類を救うという宇宙船の設計図をひとり引きつづける…

原田マハ「ジヴェルニーの食卓」

印象派の画家にまつわる掌編小説を集めたもの。 マハさんの描く世界は優しくて、冬の晴れた日にそっと降る雪みたい。 ハッピー!って終わりはどれもないけど、幸せの引き出しが自分の中で増えてると思えるお話ばかり。 とくにマティスとピカソの刺激的な交流…

伊坂幸太郎「砂漠」

砂漠ってひとことで言うと、「社会」のことだった。 学生時代をオアシスとして思い出すなかれっていう 大学の卒業式の学長のあいさつにもあるよう、 これから出ていく世界のこと(学生目線で!) 仙台の大学生4人の、平凡と見せかけて全然平凡でない 学生生…

夏目漱石「明暗」

津田とお延は一見して仲むつまじい新婚夫婦。 の陰にちらつく、津田の昔の恋人の存在(清子)。 常に逆上ぎみの妹、お秀や勤め先の上司の奥さまである吉川夫人。 お延だけが清子のことを知らず、悪意ある吹聴で不信感を募らせていく。 いちばん黒幕っぽいの…

夏目漱石「彼岸過迄」

タイトルの由来が力の抜けるものだった件。 「元日から始めて、彼岸過迄書く予定だから単にそう名づけたまでに過ぎない実は空しい標題である」 うーん、後期三部作「彼岸過迄」「行人」「こころ」の入り口として手に 取ってみたけど、「三四郎」と同じく印象…

夏目漱石「それから」

文庫カバー裏の引用↓ 長井代助は三十にもなって定職も持たず、父からの援助で毎日をぶらぶらと暮している。実生活に根を持たない思索家の代助は、かつて愛しながらも義侠心から友人平岡に譲った平岡の妻三千代との再開により、妙な運命に巻き込まれていく・・・…