tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

綿矢りさ「しょうがの味は熱い」

・でも愛と相性は別なのかもしれません。

・ほんとに合っている二人ならもっと、自然に、とてもスムーズに、結婚まで至るものなんだ。

 

いや、もうこれに尽きる小説だった。

2行目はお父さんの怒りコメントの一部なんだけどもう的を射すぎていて、うんうんと激しくうなずいた(心の中で)

 

20代半ばの同棲中のカップルがいて、性格も考え方もまるで違う。同じ屋根の下にいても全然違う星の住人みたいで、好きなもの同士が住んでいる甘いムードなし。

 

奈世という女の子が結婚したいという主張を絃にし始めたことから関係がほころび始める。

一方通行じゃんって思ってたら続編の「自然に、とてもスムーズに」というお話で絃の目線からも2人の日々が語られ、うーん、愛あるのでは.....?という気になってくる。

 

こういうカップルほんとにいそうだし、このかけらも自分の中に思い当たるものもあって自分ごと小説だった。奈世と絃のあいだにあるものは愛かもしれないけれど、なぜ幸せまっしぐらにならないのだろう。これが男女の仲の深淵なのか。。深い。

 

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原田マハ「独立記念日」

昨日までの私にサヨナラできる一冊

24のお話が入っている短編集。

 

ほっこりからシリアスまで。

タイトルの可愛さで油断して読むと、危険。

「月とパンケーキ」でいきなり切ない。

切ない方が幸せ一色より話を覚えていられるのがふしぎ。

 

独立っていうのは自立に近くて、甘えてる人にはこのストーリーのような瞬間は訪れないことがわかる。しゃきっとせねばと少し襟を正す気持ちになる、新年小説。

 

今は表紙がゴッホの絵に変わっているよ。

 

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原田マハ「本日は、お日柄もよく」

OLニノ宮こと葉がスピーチライターとして一人前になっていく奮闘記。

恋すれどもそれも仕事の燃料にしつつ、という仕事純度100%なストーリー。

タイトルからウェディングが中心かなって勝手に思い込んで買ったので、事前イメージとは違った。こと葉に任されたのは、野党政党のスピーチライターで、日本の政治をめぐる熱い議論が中心だった。

 とはいえ始まりは幼馴染の結婚式会場にて。

 

p.28

こうして、私は出会ったのだ。

「言葉のプロフェッショナル」、スピーチライター、久遠久美に。

 p.158

「聞くことは、話すことよりもずっとエネルギーがいる。だけどその分、話すための勇気を得られるんだ、と思います」

 

スピード感のある熱い小説だったけど、没頭するほどには入り込めなかった。

こと葉という主人公は同じ世代なのにあまり共感するところがなく、こういう人いそう!という感じも抱けなかったのが大きいかも。今度ドラマ化するみたい。

 

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東野圭吾「容疑者Xの献身」

直木賞受賞作。

黒一色の背景に一輪の赤いバラ、読み終えた後にふと見ると読後感とすっと重なって切なくなった。

 

狭い範囲の人間関係が舞台なのに、誰もが思っていた行き先と違う線路にいつの間にか切り替わっている。トリックのスリルが秀逸。2時間ドラマの恋愛のような要素も太い柱で、苦手な人にはちょっとしんどいかもしれない。

 

天才数学者でありながら高校教師として日々を送る、石神という男性のあまりにストイックで優しい姿勢にこわさを感じてしまったから、感情移入しきれなかった。

 

しかし、推理小説というより愛の物語だなぁ。こんな風に愛される幸せっていうのは新しい。

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瀧本哲史「武器としての交渉思考」

めずらしく真面目に、仕事関係での解決のヒントを求めて手に取った。

答えは4時間目、「交渉の争点」を図にして、アパレルのマーケティングを例にとって解説されていた。お願いごり押しだけでは話が前に先に進まない現実に、少し光を。

「交渉」なんて論理立って習うことないし、OJTで上司から盗めみたいな面が強い中、こうして新書で読めるのは恵まれたことだと思う。良書。

特にエッセンスがあると思われたのが、2時間目と4時間目かな。

 

2時間目 自分の立場ではなく、相手の「利害」に焦点を当てる

・大事なのは、自分の立場ではなくて、相手側のメリットを実現してあげること。そのうえで自分もメリットが得られるようにすること。

当たり前だけど、交渉した相手との関係はずっと続いていくわけで、お互いのちょうどいい合意点を探る、深い相互理解をもとにしたコミュニケーションという。

 

4時間目 「アンカリング」と「譲歩」

・アンカリングは、最初の提示条件(=アンカー)によって交渉相手の認識をコントロールすること。練習問題でアメリカ大統領選のポスターで勝手にカメラマンが撮った写真を使った場合の切り出し方が出ていた。

普通は、いくらこちら側が払うかっていう提案を思いつくけど、これは意表を突く提案だった。うーん、ビジネスとしてはいいけど、"正しいことが良いことってわけじゃない"という恩田陸の小説の一節が頭に浮かんだ。

・譲歩については、無条件で相手の譲歩を受け入れずいったん考える時間をもらう。

車のディーラーが無料の保険をオプションとしてつけてくれる真の目的は、保険の切り替え時期の情報を手に入れ、次の保険のセールスをするためというような相手のメリットが隠れていることがあるため。

 

非合理的な人への対応法も記されていて、どっちかというとこちらの対応が必要な方が日常では多い気もした。

 

 

 

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恩田陸「隅の風景」

旅エッセイ。

旅によって呼び起こされる感情や土地ごとの名所の説明などなど。

いわく、旅とは「予感」を感じにいくものと。サクサク読めた。海外も国内もまんべんなく足を伸ばしていて、ひさしぶりに海外旅行に出かけたくなった。

 

恩田陸の文章や考え方ってきわめて男性的だなと思う。

「蜜蜂と遠雷」であんなに女性ぽさや繊細な音を表現してるギャップが大きくてびっくりした。

女優さんの演技とブログのギャップみたいなイメージ。江國香織の小説とエッセイのギャップってないのに、この恩田陸の差はなんなんだろう笑

 

 

 

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穂村弘「本当はちがうんだ日記」

安定の文系男子エッセイ。

声を出して笑ってしまうので家の中で読むのがおススメ。

 

一例を挙げると、

・飲めない苦いエスプレッソを飲もうとするほむらー

・読まないサンリオSF文庫をコンプリートしようとするほむらー

・「暮しの手帖」を創刊号から70号まで一括購入するも、花森安治は自分のようなメンタリティーをもつ人間を絶対に認めないであろうと感じてこわくなるほむらー

 

 

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