tunamayoの日記

小説、エッセイ、経済書を中心に日々こつこつ。積読との戦い。

有川浩「ラブコメ今昔」

自衛隊もの短編集。

図書館戦争シリーズを読んでいたので特に違和感なく、特殊な設定には入っていけた。

それと昔、自衛隊の人と付き合っていたのでリアリティーというか懐かしいなぁという感覚を覚えた。

任務に出るたび、たとえ練習であっても死を覚悟していること(遺書を残しているらしい)や年齢でなく階級による上下関係(防衛大卒、幹部候補生、高卒で叩き上げetc)

「レインツリーの国」を読んだ時も思ったけど、有村浩さんの取材力がほんとすごいし、それをベースにフィクションでこんなにときめかせてくれることに感謝。

 

「ダンディ・ライオン」にはひさしぶりにキュンキュン。

階級差と年齢差というふたつの要素の組み合わせは反則や。ときめく。

一番最初の「ラブコメ今昔」の裏ストーリーになってるので、最後におまけがついていたような喜び。そんな出会いをしていたのー!!という、びっくり。

 

 

ラブコメ今昔 (角川文庫)
有川 浩
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-06-22)
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カズオ・イシグロ「夜想曲集」

うーん、微妙でした。

もっと大人になってバーでウィスキーを傾けるような年齢になればわかるのかもしれない憂愁。

5つの短編が収められていて、どれももやもや。

「老歌手」でアメリカの有名な歌手とその妻との一幕をベネチアの運河で手助けするギタリスト。その妻が出てくる「夜想曲集」では、周囲からのすすめで整形手術を受けたサックス奏者が巻き込まれるいたずらを超えたトラブル。

こう書くと起伏に富んだストーリーなんですが、憂いと絶望が薄いカーテンのようにかかっていて、全然ときめかない。それを意図した作品なのだから、読んで文句を言う方に非がある気がした。

 

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)
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よしもとばなな「王国」その1~3

その1 アンドロメダ・ハイツ

その2 痛み、失われたものの影、そして魔法

その3 ひみつの花園

 

山から降りてきた18歳の雫石、占い師で生計を立てる楓、サポート役のゲイの恋人片岡さん、植物男子真一郎くん、おばあちゃん、ときどきほかの人たち

 

互いの関係はちょっと世間と違っても醸されるあたたかい関係はとても居心地がよくて1日1冊読み進めてあっという間に出口へ。

その3では、雫石の恋にかげりが見えはじめるも、さっと清める不思議な力もちゃんと配置してくれてるからトーンとしては健やか。ひと休みしたり、山奥で深呼吸したり、ハーブティー飲んだりしたくなる、自然回帰小説。

 

すっと納得できた、楓の言葉。

「あのね、人が出会うときにはどうして出会ったかっていう意味があって、出会ったときに秘められていた約束っていうのが終わってしまうと、もうどうやってもいっしょにいられないんだよ」

 

王国〈その1〉アンドロメダ・ハイツ (新潮文庫)
よしもと ばなな
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有川浩「レインツリーの国」

白い空にクリーム色の紙飛行機の表紙。

 

この写真がとってもしっくりくる始まり方。

ふと飛ばしてみた手紙から始まる小さな恋の物語。

 

上京3年目、こてこての関西人伸行は、中学生の時に読んだラノベの感想を何の気なしに検索した。たどり着いたのが「レインツリーの国」というブログ。

自分と違う感想を持つ、管理人ひとみさんに勢いでメールしてみたところ、まさかの好感触、本を巡る話でどんどん盛り上がって、デートにこぎつける。ハンドルネームは伸。

 

会ってみると、会話がところどころかみ合わず、リードをがんばっていた伸にとって我慢の限界なる出来事が起こり…。ここから先はネタバレになってしまうので。

実際はネットで会った人とここまでつながろうとする人ってきっといないし、ひとみさんの抱えるある"問題"に正面から向き合う強さがある人も少なくて。

伸の人間力すげえ。っていう本題と違う感想が圧倒的でした。

有川作品は糖分を求めてときどき無性に読みたくなるけれど、こちらはカロリーオフのラテといったところでした。

 

レインツリーの国 (新潮文庫)
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川端康成「千羽鶴」

うーん、三島が意識的な変態なら、川端康成ナチュラルな変態だなと思う。流れるような自意識で、さらりとして侘び寂びを感じる文体。わたしはとっても好きになった。そんな中、話がぶつりと終わってしまったので、呆然となった。

解説を読むと、九州取材旅行中に取材ノートを盗まれてしまったようで、続きの情景を描き出せなかったとのこと。。

トーリーを楽しむというより、瞬間の心の動き、茶器と人の重なりあいを鑑賞する淡い読みものなので、さほど未完成さは目立たない。四季に囲まれた日本家屋と独身貴族の若い男性という余白のある設定もよいですなぁ。

結婚の世話を焼くおせっかいおばさんの来歴とたくらみが「動」であとはひそやかな陰翳礼賛の世界。

 

 

千羽鶴 (新潮文庫)
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さくらももこ「さくらめーる」

図書館で見かけて急に読みたくなった「さくらめーる」

名前のゆるやかさと表紙のヤギの配達おじさんにすすっと惹かれた。

 

読者からのお便り(短め)にさくらももこさんが答えるというもの。

息子さん(めろんくん)を育ててるのか―!と今さら知ったり、父ヒロシが他人からもヒロシと呼び捨てにされてることへの質問に対して「そりゃヒロシなんだからしょうがないよ」という大人な回答に笑ったり、リラックスできる書物

 

はるか昔にちょこっと読んだ「もものかんづめ」「さるのこしかけ」なんかも、休日の午後とかにコーヒー飲みつつめくりたい。

 

 

さくらめーる
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プラトン「饗宴」

少年への愛が友愛、年上の同性への愛が恋愛。

焦がれ方が違うんだろうなぁ。

プラトニックラブの語源がプラトン(らしい)

全然、女性が出てこなくて対話の中で眼中にないのがむしろ清々しい。

 

それにしても西洋の思想の深さには、ははーと畏れ多くなる。

日本が稲作などに励んでいたころに、友愛と恋愛の違いについてディスカッションしているわけだから国としてレベル違うなって思う。もちろん、日本も好きです。

 

 

饗宴 (新潮文庫 (フ-8-2))
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