BOOK&

小説、エッセイ、たまに哲学。マイペースに読み進めてます。

河本薫「最強のデータ分析組織」

 

・分析者の守備範囲は、データ分析で終わらず「業務改革」まで立ち会う。

結果責任と説明責任はトレードオフの関係にある。

簡単なモデルは説明しやすいが精度が低い可能性があり、ブラックボックスなら的中率80%を超える予想ができるとき。説明責任は果たせないが、それを選んだ結果責任は分析者にあるという、

・現場担当者に業務を学び、教えを乞う姿勢

・新サービス創出にはデータ分析とは異なる能力がいる。

データ分析はデータから「情報価値」を見いだせるが、それを「サービス」にしていく力は別のもの。

 

”負け戦”に挑まない

①現場担当者の本気度が足りない。

②どれだけ頑張っても得られる効果が小さい。

③素晴らしい予測をしても行動できない。

 

 ③は家庭用のガス器具の故障予測ができたとして、「そろそろ故障しそうなのでメンテナンスを」というお知らせはしにくいということ。

 

 

最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか

最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか

 

 

きちんとした大きな組織でたくさんの課題があり、優秀なリーダーと人材がいたから成功したんだなということがわかる本だった。

 

これを真似することは難しいんではないかと思った。プロジェクトXを観てるときと同じ気持ちになる本。大阪ガスという会社の中でいかに河本さん率いるデータアナリシスセンターを存在感あるものにしていったかという話。

 

私もデータ分析の世界にいるといえばいるけど、すごく狭い領域かつ自分のスキルが低いということを痛感した。真の分析は交渉力や社内政治、数字として結果を出すということが伴うと知る。

「マッキンゼーが予測する未来」

2年以上前に出版されたものだけど、数十年先の未来への知見なので面白く読めた。

個人的に面白かったのが消費者余剰と新興国戦略なのでそれに触れたいと思います。

 

消費者余剰の一部を、消費者に負担させる

 

本書の文脈ではインターネットで提供されるサービスにより創造された総価値(消費者が支払ってもいいと考える金額)-実際に支払われた価値のギャップを指していた。

 

つまりネット上サービスに対してどうやってお金を払ってもらえるか?という話。

 

広告収入や基本サービスは無料で有料だとお金がかかるっていうのは理解しやすかった。BtoBで保有するビッグデータから収入を得るっていうのがあって、これ今後増えそうだなと思った。

 

インスタをお休み中で、距離を置いて眺めてみるとみんなが進んで個人情報をプラットフォームに出してる仕組みすごいと思った。今までユーザーとして特に考えてなかったけど、位置情報とか食べ物、顔写真の画像とかすごいデータ量なんだろうなと。

 

こうやってSNS上で進んで提供されるものやSuicaデータなど集まるところには膨大に集まるんだろうね。

 

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

 

 

 

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伊賀泰代「生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの」

読書会でおすすめされた本。

 

ちきりん=伊賀泰代さん説を確かめるためにもこの機会に読んでみようと思った。

結果、内容面からそうかもって思った。文体はお二人(?)とも癖がなく読みやすいので同じかは自信なしです。

 

生産性=得られた成果÷投入した資源

 

として、そのアップのために分子の付加価値額の増加も挙げてる

のが印象的だった。つい効率化によるコスト削減って思うけど、

付加価値額を増やすことも同じくらい大事だなぁと。

 

製造部門以外の全ての部門が「生産性」の重要さを理解しなければならないという。

 

①改善=インプルーブメントにより、投入資源を小さくする

②革新=イノベーションにより、投入資源を小さくする

③改善=インプルーブメントにより、成果を大きくする

④革新=イノベーションにより、成果を大きくする

 

わたしは肩書もない一般社員なので、生産性と資料の作り方は自分の仕事について考えるきっかけになった。

一方、後半は組織論として、仕事ができない中高年層に研修機会を与えるなど管理側の話がメインだったのでさらっと読んだのみ。

 

マッキンゼーの研修でRPG研修があって、参加者はマネージャーとして仮想チームを率いて意思決定していくっていう話は印象的だった。

 

正解がないっていうのがリアルだ。

 

参加者がこのRPG研修から学ぶべき最も大切なことは、「マネージャーの仕事とは、トレードオフが存在する状況において判断を下すこと」だと理解することです。

ゲーム中に現れる選択肢は、どれかひとつが正解で、残りが不正解と分かれているわけではありません。「どちらも正解であり、どちらも完璧ではない」という選択肢が複数示され、その中からどれを選ぶかという意思決定の練習なのです。

 

 

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

 

 

 

綿矢りさ「大地のゲーム」

なんとなく表紙に惹かれ、借りてきたのだった。


震災後の違う未来を示した小説だった。大学で寝泊まりする学生たちというありそうでない世界。


みんなをまとめる学生運動的なリーダーが表れ、屋上からバンジージャンプしたりリンチが行われるなどアナーキーながら荒々しいエネルギーが溢れていた。

 

大地が今後もまた揺れるかもしれない。それなのに、なぜこの街に残り続けるのか?


とてもシンプルな理由ですっきり終わった。


大地のゲーム (新潮文庫)

大地のゲーム (新潮文庫)

 

 

 

 

玄侑宗久「禅語遊心」

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山中に暦日なし

 

少し前の時間から切り離され、また少し後のことを考える気持ちから解放された時間。それが暦日なき山中の時間だ。禅ではそのことを「前後際断」と云う。「今、ここ」があらゆる歴史や因果から解き放たれているのだ。

 

不風流処也風流

 

「風流だね」という不都合な現状の言祝ぎ方を、我々は禅で学ぶのである。

(略)風流とは、けっしては望みはしなかった突発的な事態に対し、ゆらぎながらも心を添わせようとする意志表現だろう。

 

禅語遊心

禅語遊心

 

 

「美味しい革命」

 

 

美味しい革命―アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと

美味しい革命―アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと

 

<シェ・パニース>で働くには"空気が読めなければならない。"空気"とはすべてだー倫理観、勘、対人マナー、アリスがうまく言い表せないでいても、どういうことか直感的に理解する能力。 

 

単なるシェフやウェイターではダメで、知性・教養・料理のセンスがある人でないと働けないということ。

 

アリスの伝記という形式ではありながら、スローフードの歴史も知ることができる。

 

読むまではアリス・ウォータースとシェ・パニースの名前を知っているだけだった。シェ・パニースって何??というレベル。松浦弥太郎さんのエッセイで1度出てきてずっと気になっていた。

 

1960年代、カリフォルニア州バークレーズでフランスの豊かな食文化に目覚めたアリスは「シェ・パニース」という名のレストランをオープンした。アメリカ流フレンチへとシェフや経営陣を変えながら独自の進化を遂げたお店。

かなりのトラブルや人の交代劇が起きるので、まさに波乱万丈。

 

アリスの思いは、食べることは考え方や生き方を表しているというもの。ファストフー

ドの陰でどれだけ農地が汚染され、団らんが減っているのか?

スローフードは新鮮で美味しい食事を提供してくれるだけではなく、大地を守り、人との絆も強くしてくれるという。

 

旬のものを簡単でもいいから料理して、家族と食べようと思った。菜の花、春キャベツ、新玉ねぎとかね。

 

森博嗣「封印再度」

めちゃくちゃ面白かった!!

S&Mシリーズで「すべてがFになる」を読んだときは、正直そんなに面白いと思わずそのまま手つかずになっていたシリーズ。

 

最近時間を持て余していて、「冷たい密室と博士たち」を読んだところ、ハマってしまい、このシリーズを何冊か買い込んだ。

 

 N大学の犀川先生とお嬢様の萌絵というS&Mコンビに恋愛要素あるのがいい。

そこに加えて、謎の殺人事件。まるで名探偵コナンのように行く先々で死体が見つかる展開も安心感をくれる。

 

封印再度」で最も面白いのは、殺人の凶器のトリック。あまりにも予想の範囲外で、誰かにすぐ言いたくて言いたくて。

こんなトリックって理系しか思いつけないと思う。文系には推理すらできない。

 

読書会で紹介したら、同じく読んだ人がこのトリックのすごさに共感してくれて

少しすっきりした。文章も味があっていいですよね、って言ってくれたけど次作の「幻惑の死と使途」の方が好みとも。

好き嫌いは予想できないけど、周りの人に当分プッシュと貸出を続ける4月。

 

封印再度 (講談社文庫)

封印再度 (講談社文庫)