BOOK&

小説、エッセイ、たまに哲学。マイペースに読み進めてます。

川端康成「山の音」など

山の音 (角川文庫)

山の音 (角川文庫)

力の抜け加減が絶妙で、名文とはこういうものだと知る。

晩年の作品な上、主人公は60代の男性なので全然ガツガツしてないんです。
昭和の当時は引退モードだったのかな。

性欲とかもあってはならん、という年だったのかなと。

同居している、息子の嫁の菊子への思いを....と言うような文庫裏の解説でエロかと思ったら慈愛に近い感情だった。

息子が女癖悪くてダメダメなやつなのだけど、たまに甘えたり外の女には本気にならないなどうまくやっている。

自然に話が始まり、何てことないシーンでスーッと団欒の場からカメラを引いてくような。

このデジャヴ感..........小津映画の秋刀魚の味

愛する人達 (新潮文庫 (か-1-4))

愛する人達 (新潮文庫 (か-1-4))

愛する人たち」

こちらも晩年の作品。

変わった人ばかり出てくる短編集。
割り切れない人の心理を丁寧に追うものでした。

伊豆の踊子 (角川文庫)

伊豆の踊子 (角川文庫)

今さらですが、伊豆の踊子も読んでみました。
昔挫折したけどこの流れならいけると思い。

わ、若い!!

才気と自意識がほとばしっていて、おなかいっぱいに。あえて進展させないのが美学?

処女性が美しさにつながってるってことだと勝手に解釈。男性の理想を押しつけられてるようで、気持ち悪く感じた。

森昌麿「黒猫の遊歩あるいは美学講義」

黒猫の遊歩あるいは美学講義 (ハヤカワ文庫JA)

黒猫の遊歩あるいは美学講義 (ハヤカワ文庫JA)


もりあきまろさん、と読むみたいですね。

ついしょうまさんと読んでしまう。

はさておき、面白かった!

秋の夜長にオススメです。

イラスト系の表紙はラノベぽくて進んで読む気しなかったんですが、読書会で紹介されて急に気になってきたのでした。


interesting>funという感じで知的好奇心をくすぐる推理なんだなぁ。さすがハヤカワ。

24歳で教授という異例の出世をした通称「黒猫」先生とその付き人の大学院生「私」(女の子)

恋は淡いけど、巻が進むとすこーしではあるけど進展あり。

メインは美学の理論を追求する黒猫と、ポーの小説を身近で起こる事件に重ねて読み解く「私」の試行錯誤。全然違うふたつの領域がクロスするところに面白さがある。

思いもよらない美学が解決キーになるので結末が全然予想できない(笑)

これは短編集だったけど、長編が多いのかな?

武田百合子「富士日記」

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先日訪れた、清里にて

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さてさて、今日はこちらのエッセイ(?)をご紹介します。


富士日記〈下〉 (中公文庫)

富士日記〈下〉 (中公文庫)



武田百合子富士日記

ついに下巻を読み終わってしまった。
最後は切なくて泣いてしまった。

と同時にすぐにでも山に行きたくなった。

終わってしまう日常って何でこんなに切ないんだろう。


富士山麓の山小屋と東京を行ったり来たりの暮らし。山の鮮やかな四季、夫との会話、夢、家計簿など、日付ごとにまとめたもの。

とうの昔に過ぎ去った出来事なのに目の前で起こってるような現実感があって、飽きない。

昭和40年代だし、物価もちょっと違う世界なのにこの、今目の前で起こってる感覚。安室ちゃんの引退や今日誰かと交わした会話より圧倒的にある。

百合子さんが全然昭和の女じゃなくて、現代的なのも入りこんでしまった理由だと思う。

この表紙をがらっと変えたら、もっと売れると思う。

二重拠点生活、夫と娘との適度な距離感、丁寧な山暮らし、仲良し夫婦との家の行き来、SNSなし(時代的に)

お酒も飲むし、車も運転する。

ライフスタイル誌で見たことあるある設定。

全く嫌みのない、明るい人なので旅行記も読んでみたい。


 

ジェイムズ・リーバンクス「羊飼いの暮らし」

羊飼いの暮らし──イギリス湖水地方の四季 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

羊飼いの暮らし──イギリス湖水地方の四季 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)


ほかに望むものなど何もない。
これが私の人生だ。


という帯、のどかな羊の風景のギャップ。

ジャケ買いフラグ🚩

ここ1年で読んだ中で、最も読みごたえがあった。

羊飼いってハイジに出てくるペーターののほほんとしたイメージしかなかったけど、めちゃくちゃ頭使うし肉体労働だった。

イギリス湖水地方で600年続く羊飼いの家系に生まれたリーバンクスさんの手記。

ユネスコのアドバイザーもされてるらしく、2017年の湖水地方世界遺産登録の立役者だとか。ツイッターもされてるよう。

これまで書かれることのなかった領域じゃないでしょうか?

家業、ワークライフバランスなんてものがない世界(仕事も生活も一体)をのぞくことができた。

オックスフォード大卒の件はさらっとしか触れれる扱いで、ベースはあくまでも祖父の背中を見て育った羊飼いとしての自分。

夏は山に放牧して、美味しい草を食べさせ、秋には自分の囲い地に集めて、いい感じの羊同士を引き合わせて春の出産に備える。厳しい冬は干し草でしのぐ。

ひとつひとつが骨の折れる作業。
いろんな農場から集まった羊たちを牧羊犬を使って自分の群れだけ集めるのもひと苦労。はぐれて遠くにいってしまった子羊を捜すのに専門のバイトがあるくらい大変とある。


観光地としての湖水地方と生計を立てる場としての湖水地方がまったく異なること、景観を守っていくための考察は観光地との関わり方について考えさせられた。観光でお金を落とすだけでは守れない景色がある。

竹田青嗣「欲望論」第一部、第二部

欲望論 第1巻「意味」の原理論

欲望論 第2巻「価値」の原理論

ようやく読み終えた2冊。めちゃ分厚い!!

ひとことで言うと、竹田先生の覚書メモだった。

存在と認識、善と美、フロイト、エロスなど幅広いテーマを扱うも、全て箇条書き。言いたいことに向かって展開していくというより、テーマごとに完結したものが連なってる感じ。

あとがきで知った意図→

デカルトから始まった近代哲学が力を失い、現代思想相対主義から抜け出せず、力の論理(戦争など)に対抗できない。
哲学という人類共通の言語ゲームによって、力の論理に対抗できる「善と美と真実」の価値秩序を立て直す。

竹田先生は解説はうまいんだけど、やはりオリジナルな考えはないんだな......。

すごい期待した分、フクザツ。第三部にあるのかな。

近況

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こんにちは。

今月から社会復帰して、ようやく働く感覚を思い出してきた。3ヶ月のニート生活は長すぎた。

ホリエモンの多動力やできる人のメール術などビジネス書に加え(プライムリーディングで無料でした)、ニーチェなども精力的に読み進めてます。

読む本を選んで、知ったことは文章や行動としてアウトプットしたい!

実際のところはめっちゃバテてて、目覚ましアラームが聞こえない(+o+)

買いものはなるべくzozoや通りがかったセールで済ませ、小型家電や本屋さんになさそうな本はアマゾンで注文し省エネを図る。体力がないーーー。

Kindleもまた使い始めました。通勤中のページめくりが大変楽です。充電いるのだけが問題かな。

落合陽一「デジタルネイチャー」

デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂

デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂

知的好奇心をくすぐる書でした。最前線に携わってる方って基本AIに対してめちゃポジティブ。仕事奪われる側じゃないっていうのもあるんだろうな。

ツイッターにはご子息のかわいい写真がアップされてたり、アンチへのひねりのあるコメントとか、人間らしさが感じられて、本から受けた印象とのギャップが意外だった。

落合さんが描く未来の働き方は、AI+BI型とAI+VC型に二極化するもの。BIはベーシックインカム、VCはベンチャーキャピタルの略。

前者のタイプは、機械の指示に従ってタスクに従事し、働く人の間で賃金差が出ない。生活に必要なお金はもらえる。後者はフレームの外でイノベーションを起こす。

あと、AIの本質のひとつに、教育などで人を同じ型に押し込めなくても、違うまま全体管理や個別最適が図れるようになると指摘。これすごくよいと思った。